アギーレジャパン

とりあえず一言。
大丈夫かアギーレジャパン。
守備も攻撃も、とりあえず局面で個人が頑張るサッカーに見えたけども。
それ以上でもそれ以下でもないというか。
忌まわしき2011年のペトロビッチ浦和を思い出したけども。

まぁまだ1戦。
もうしばらく様子を見てみようじゃないか。

コートジボワール戦

 いよいよ開幕したワールドカップ。4年ぶりの緊張感が帰ってきましたね。リードしているときの「何とか守り切ってくれ〜」とか、リードされている時の「何とか1点取ってくれ〜」とか、双方のゴール前にボールが入るたびにドキドキしたりとか。この緊張感こそがやはりワールドカップ。2014年の日本代表の運命やいかに! ってことでコートジボワール戦です。
 感想としては一言、重い試合でしたね。身体が動いていなかったのはコンディションによるものなのか、ワールドカップという緊張によるものなのか。立ち上がりから慎重で思い切りがない。重心が後ろめだったってこともあるけど、つなぎの場面でのミスが異常に多い。特に前線の選手たちに。コートジボワールがめちゃくちゃ激しく来たってわけでもないと思うけど、簡単に敵にボールを渡してしまいました。
 そんな展開の中で生まれた本田のビューティフルゴール。マーカーはヤヤ・トゥーレだったと思うんだけど、対面にはCBもいて、その両者が届かないスペース、かつ左足で即シュートが打てるところにワンタッチでボールを落としてズドン。身体を右に泳がせながらもその勢いのままに左足を振りぬいたって感じで、トラップからのシュートフォーム、ボールの軌道も含めて美しいゴールだったと思います。
 その後は押せ押せの時間が一瞬だけあったんだけどね。内田のシュートとか岡崎のマイナスへの折り返しとか。岡崎はGKとDFの間に早いボールで大迫に合わせて欲しかったなぁと思いました。大迫、めっちゃキレてたし。ただ、その時間も長くは続かず。で後半に続けざまの2失点。前半から香川は中に入るプレーが多かったと思うけど、中に入ってパスミスしたら、そりゃ本来香川がいるはずのスペース使われるよね。失点はそこからのクロス。いくら長友でも1人で2人は防げない。中に入るのは良いけど、そこでのミスが致命的すぎた。
 それから試合終盤、吉田を上げてのパワープレイ。これまでの4年間、長身選手を投入しても全くパワープレイをするそぶりを見せなかった選手たちがあっさりとそれをやったことの衝撃。監督の指示なのか、選手たちの判断なのかは分からないけど、僕はそれがショックでした。素直にパワープレイをすることを選ぶくらい、「今日の日本代表では崩せない」って判断を選手たちもしたんでしょうね。つないでミスするより放り込んだ方が良いと選手たちも感じていたと。ピッチ上の選手たちも重苦しい雰囲気を感じながら試合をしていたのかもしれないですね。
 初戦の敗北により、予選突破は非常に厳しいと言わざるを得ないわけですが、ただ、悲観しているわけでもないし、絶望しているわけでもないんですよね。というのも僕たちの日本代表のプレーが全く通じなかったわけではなく、(おそらくメンタルの問題により)いつものプレーができなかった、しなかった。要するに自滅だったと思うんです。でもいつもの日本代表のプレーができれば、通用するのは間違いないし、それは親善試合だったとはいえオランダやベルギー、負けたとはいえイタリアにも通じたことを僕たちは知っているわけです。なので、見ている僕らも切り替えやすいし、選手たちもギリシャ戦ではきっと切り替えてやってくれるはず。ということでまだまだ予選突破をあきらめるわ けにはいかない。個人的にはベスト8に進む日本代表が見たいぞ。きっとできるはず、やってくれるはず。頑張れニッポン。

 久々すぎる更新。話題はもちろん今季の浦和レッズ。第12節終了時点で7勝2分3敗、勝点23の2位。出だしは上々かと思われます。今シーズン、なんとなくではありますが一応浦和の試合は全部見ているので、その感想、というか印象を。

 まず守備意識の高さ。これはスカパーの中継でも再三いわれているんですが、昨シーズンの失点数の多さ、特に終盤はひどくてACL出場圏すらも逃してしまった。ということで今年は守備意識が高いですね。槙野が無闇に上がらないとかも含めてw。まず高い位置でボールを奪いに行くときと、下がって体制を整えるとき、このメリハリが利くようになったなぁと。高い位置で奪ってショートカウンターって美しいと思います。個人的にはこれが一番好きです。ドルトムントみたいな感じ。ブッフバルト1年目はこれが見事だった気がする。エメルソン、田中達也、永井、山瀬らによるハイスピードショートカウンター。懐かしいなぁ。でも今年の浦和で感心しているのはむしろ守備ブロックを作ったときの守り方で、去年は2シャドーの守備時の位置取りがあやふやだったというか、よく言えば臨機応変、悪く言えば守備にムラがあるイメージでした。でも今年はきれいな5-4ラインを作って守るようになりました。中盤左から原口-阿部-柏木-コオロキの4人で5バックの前にきれいなラインを作り、守備ブロックを構築するんです。昨年はそんなの全然見られませんでしたから、大きな進歩ではないかと。ただ、その分原口・コオロキの位置が低くなるので、2人の負担が増えているのは事実だと思います。特にコオロキはポジションが1列下がって、1トップだった昨年と役割が異なるので、ちょっと存在感出せてないなぁと思っていたのですが、10節の横浜FM戦ではすごく効いていました。このまま調子を上げていって欲しいです。原口も守備がんばってますね。体を張るようになったし、粘り強く人に喰らいついて守備をしている。これをこの先も続けて欲しいなぁと思います。

 攻撃面の印象としては、両ワイドを使うロングパスがすごく増えました。カウンター時はもちろんですが、細かくパスを回して逆サイドをフリーにしてからロングパスみたいな。ただその前提として、中央でのコンビネーションが成熟してきたことも忘れてはいけない。密集した狭い局面を前3人が中心となり打開できるようになった。昨年より両ワイドが内側に入ってくるケースも増えていて、守備固められても崩せるという実績を残せるようになってきたというか。中を崩せるからこそ外が生きるわけですよね。相手守備を中に集めてサイドにパス。意識を引きつけたうえで逆サイドへ。良い流れです。

 一方で特に槙野が攻撃をかなり自粛しているので、攻撃に厚みが出ないケースが多くなってるなぁって印象もあります。去年は原口・宇賀神・槙野の3人による左サイドの崩しはかなり武器になっていたし、槙野って中向きでボールを持ちながら右足での軽いキックフェイントで縦に持ち出す成功率が高い印象なんですよね。悪くいうと槙野のお決まりパターンなんだけど、相手DFからすると、周辺に味方が多いからクロス・ショートパス・ワンツー抜け出しを警戒しつつなので、後手を踏むケースが多いようです。まぁ今年はそういうプレーも少なめです。逆サイドの森脇はガンガン行くというよりはビルドアップ中心で、攻撃に関与する時もドリブル突破ってよりは右ワイドのフォローに入って数的有利を作るようなプレーが多いですが、今年は左サイドもそれに近い印象ですね。

 また、FC東京戦だったと思うんですが、槙野がケガで欠場した試合では、フォーメーションがいつもと違う動きをしていました。通常は、基本フォメ3-4-2-1で守備時はワイドがDFラインに入り、2シャドーが相手SBをケアする5-4-1、攻撃時はワイドが最前線へ、ボランチが1人CBに入りCBの両サイドがSBの位置取りをする4-1-5になります。FC東京戦では槙野の位置に永田が入りました。守備はいつも通りの5-4-1でやっていましたが、攻撃時の動き方がいつもと違う2パターンで、1つ目は阿部がいつものCBではなく左SBの位置に下がり、CBは那須と永田、右SBに森脇が入るパターン。永田と阿部の特性を鑑みて、SBに阿部が入った方が良いという判断なのだと思います。永田スピードないし、永田より阿部の方がSB適性が高いってことなんでしょう。2つ目はCBに那須と永田は1つ目と同じ。違うのは宇賀神がSBの位置に入って左ワイドに原口、シャドーの位置にボランチの柏木が上がり、普段CBの位置に下がる阿部がボランチに残り4-1-5の真ん中、1の位置に入るパターン。この2つの使い分けが上手くいっていたわけでもないし、宇賀神の位置取りが中途半端って解説の人(誰だったか失念)も言っていたように、どっちのパターンもそれほど効果的ではありませんでした。が、パターン化されて久しいペトロビッチスタイルに進化の方向性が見えたなぁと思いました。

 パターン化されているのは今やJリーグを見ている人なら誰もが知っているし、正直停滞感を感じることもある。一昨年の終盤頃、膠着した状況を打破するために、あえてCBが中央からドリブルでボールを前に運ぶ、チームとしてCBを前に押し出して数的有利の状況構築を試みる試合があって(http://d.hatena.ne.jp/inuwarabi/20121001/p1)、阿部や永田だけじゃなく坪井もそれをしていたので、明らかに意図した動きだったと思うんですが、それも一時のことで。那須が無理矢理持ち出すとかは去年もあったけど、連携って感じじゃなかったし。今回のFC東京戦での動き方は、槙野がいないことによる応急処置的な側面が強いとはいえ、相手のマークを混乱させるという意味では、使い分けできるようになれば効果的だし、左だけではなく、右でも同じことができるようにして、状況に応じていろいろな選手がいろいろな役割をこなせるようになると、1歩進んだチームになると思うんですよね。ぜひそういう方向性を模索してほしいなぁと思うんですが、ないかなぁ、ないよなぁ。槙野が戻った甲府戦はいつも通りだったしなぁ。どうやってチームを進歩させるか、これは今後も継続的に見ていきたいポイントですね。

 一つ気がかりなのは、ケガから復帰している山田直樹がベンチにも入らなくなっていること。今はケガをしてないと思うんだけど、完全復帰を心待ちにしている人も多いと思う一方で、今のチームだとなかなかに使いどころが難しいかなぁとも思います。総合力の高い選手だと思うけど、何かのスペシャリストではないですからね。2シャドーの位置だと敵DFを背負う場面が多くコンタクトも激しい、ボランチの位置では縦横に広く動ける運動量を生かしにくい。ペトロビッチのスタイルはポゼッション志向ではあるけど割とポジション固定というか。フォメのかみ合わせから守備の穴を見出すスタイルで、動く範囲は比較的限定されるので、山田直樹のあっちこっちに顔出して、ボールタッチにかかわらず味方のプレーに関与していくスタイルを生かしにくいような印象はあります。というか、山田直樹に抱いているこのイメージ自体が幻想なのだろうか。フィンケに適応していたからそう見えただけなのか。日本代表にも入ったわけで、フィンケのスタイルには激ハマリだったのは事実だと思いますが。移籍してでも自分のプレーを最大限生かせるチームを探してほしいと、その才能をこのままうもれさせないでほしいなどとと思ってしまうんですよね。「浦和のために」って選手だとは思うんだけどね、3年前はチームの、そして自身の不甲斐なさに涙を流していた選手ですから。今後どうなるかわからないけど、ピッチを縦横無尽に走り回る姿が見たいんですよねぇ…。

浦和にあって広島になかったこと

 Jリーグ第19節浦和対広島。ペトロビッチ式3バックを使う両チームの対戦ですが、結果は3-1。最後のCKからの失点は余計でしたが、開幕戦に続き今回も浦和の完勝といっていいのではないでしょうか。
 この試合、浦和は広島の1トップ2シャドーにマンマークをつけて、広島の攻撃に対抗しました。ペトロビッチのサッカーは前の3人にボールが入らないとどん詰まりになりやすいんですよね。それは今シーズンの浦和も体験していて、大宮戦・清水戦の連敗はマンマーク気味に前の選手が潰されてタテにボールが入れられないからでした。
 というわけで広島自慢の1トップ2シャドーをマンマークです。バランスなんて知ったこっちゃありません、てな具合で槙野・森脇は縦横無尽ですかってくらい2シャドーを追いかけてました。で、マンマークで追いかけるってことは、本来いるべきスペースにDFがいないってことで、そこに別の選手が飛び込まれたらものすごく危険なわけです。でも広島はそれをしなかった。それがペトロビッチ式サッカーの特徴でもあるんですが、前の3人はポジションを入れ替えながらプレーするんですが、それ以外の選手は自分のポジションから外れることはほとんどないんですね。それによってボールを奪われた際のリスク管理をしているわけです。だからマンマークされた選手が大きく動いてスペースを作ったとしても、そこには誰も飛び込みません。だからこそ那須・槙野・森脇の3人は徹底的に佐藤・高萩・石原を追いかけることができたわけです。これが浦和が広島の攻撃をシャットアウトできた原因だと思います。ペトロビッチのサッカーはペトロビッチが一番よく分かっているということなんでしょうか。
 もちろん前の3人を抑えられたときの閉塞感は浦和にもあるわけで、実際にそれで敗戦もしています。ただこの試合では興味深かったのは鈴木啓太の飛び出しで、前半だけで2回も、広島の高いDFラインの裏に飛び出してました。あの守備専ボランチ鈴木啓太が、です。てことは、チームとして明らかに意図していた動きなわけですね。この試合の広島のDFは決してタイトではありませんでしたが、たとえ前の3人が抑えられてもその後ろから啓太が飛び出すことでチャンスを作るよ、守備専ボランチだから点には繋がらないかもしれないけど広島守備陣も無視はできないでしょ? ってことです。それが前の3人を抑えられたときのペトロビッチの解答の一つなんでしょう。この試合、浦和にあって広島になかったのはそれでした。広島に勝つために準備をしてきた浦和と、いつも通りのサッカーをしてきた広島。どちらが正解ってわけでもないんですが、この試合への入り方が勝敗をわけたの一つの要因ではないかと思います。もちろん興梠のパフォーマンスは素晴らしかったですよ。この試合だけじゃなく、彼の加入がなかったら今の順位はなかったと思うし。まぁ、簡単なシュートをはずして難しいシュートを決めるのはご愛嬌。ハットトリックのチャンスもあったのにねw
 これで浦和も優勝戦線に踏み止まることができました。もし負けてたら広島と勝点8差でしたからね。この勝ちは大きい。リーグ前半を席巻した大宮は4連敗、横浜Mはベテラン勢も多く猛暑の8月は正念場。浦和は2連敗からの2連勝で再び上昇気流に乗りつつあります。まぁ、那須、阿部、啓太、マルシオと浦和にもベテランは多くて、しかも守備の要の選手が多いですから、浦和にとっても8月は正念場なんですが、そこは若手選手たちの発奮に期待したいところ。のらりくらりでも良いから勝ち続けて、首位広島にプレッシャーをかけていきたいところですね。

祝! W杯出場決定

 かなりはずしたタイミングで更新。W杯出場がかかったオーストラリア戦。いやぁー緊迫した試合でしたね。ベテランが多いとはいえ、やはりオーストラリア相手では気が抜けないし、特に前半は見ていて疲れるくらい、ピッチ上の緊張感が伝わってきました。
 この試合の肝となったのは、攻める日本と守るオーストラリアが膠着した状況の中で行われた選手交代。後半27分オーストラリア(ホルマンout ビドシッチin)に続き、後半34分日本(前田out 栗原in)ですね。オーストラリアの意図はちょっと分からなかったけど、日本からすれば交代の難しい、無理に動かす必要のないしたい展開だったし、栗原投入については放り込み・セットプレーによる事故を防ぎたいのかなぁと。選手交代の前にハイボールの競り合いでケーヒル相手に今野がファウルする場面があって、セットプレーはやっぱり怖いし、何が起こってもおかしくない。だからハイボールの場面で確実に潰せて、セットプレーの守備でもゴール前で強さの出せる栗原の投入だったのかなと。そしたら違う事故が起こってしまった。交代直後で多少の混乱はあったにせよ、右サイドでの守備が軽かった。あの場面だと岡崎と長谷部の対応がちょっと悪かったのかな。外にSBも上がってきていて、内田はそれを意識に入れつつ中へのカットインをケアするって感じだったかと。まぁあの事故はしょうがないよね。オーストラリアですら狙っていない形なわけで。松木は采配ミスって言い切ってたけど、引き分けOKの状況でリスク回避の交代は理にかなっていると思うし。まぁ「ザック持ってない」なとw。
 そんなザックの窮地を救ったのが「持っている男」本田でしたね。この試合初のショートコーナーからハンドでPKを獲得。自ら真ん中に決めて1−1。真ん中蹴るかなぁとおもってたらホントに蹴っちゃって。名手シュウォーツァーもさすがに“動かない”という選択はできなかったようで。本田って選手はホントに恐ろしいメンタルを持っていますね。得点シーンだけではなく、試合を通じて存在感を見せていたし、やはりもっともプレッシャーの厳しいあのポジションに、しっかりボールキープできて、パスが出せる選手がいるってのは大きい。本田がいないとガクッとチーム力が落ちることが問題しされてますが、あれだけの選手が抜けたらそりゃチーム力も落ちるんですよ。必要なのは本田の代役ではなく、戦い方の幅を広げること。ザックはタテに速い攻めをやりたいっぽいけど、そこはまだ形になってないよなぁ。あと1年で何とかなるのだろうか。
 なにはともあれ、無事W杯出場が決まってよかったですねぇ。これで負けてたら一気にザック解任論とか噴出してもおかしくなかったと思うんですよ、世論的に。著名な解説人は軒並みザック懐疑派みたいな論調だし、ネットなんか見てても新しい選手を使えって声は多い。1試合消化が多いうえに1試合残してぶっちぎりの首位なのにね。贅沢な時代になりました。確かにメンバーは固定気味ではあるけど、今野とボランチを除く各ポジションのバックアップはすでに確保されてるんですよね。ロンドン組も吉田を筆頭に、W酒井、清武が代表での地位を確立しつつあります(控えだけどね)。代表での出場経験が少ないorないとはいえ、原口、工藤、東、大津、宇佐美、宮市、柴崎、磯村、久保などなど、ザックの指導を受けた選手はけっこういる(1度だけって選手もけっこういる…)。そういう選手たちが残りの1年で伸びで来れば、まだまだチャンスはあると思うし、こればっかりは選手たち自身の力が伸びてこないと、ね。原口なんかはわかりやすい武器持ってるし、もう一度召集して欲しいんだけどんぁ。
 コンフェデは現有戦力の力を図る格好の舞台です。ここで何が通用して、何が足りないのか。しっかりと見極めていきたいですね。

強いじゃないかブルガリア

 W杯出場をかけた対オーストラリア戦を控え、スケジューリングされたブルアリア戦。0-2の完敗でした。開始早々の失点が痛かったですね。もう1回蹴れと言われたって蹴れない類のシュートが出会い頭で来ちゃいました。以降、ブルガリアは守備重視でカウンターを徹底。日本代表の前線にボールが入れば、がっつり身体を当ててくるし、フィニッシュの場面でも足は伸びてくるし、カウンターに入れば「やり切る!」って意思をみなぎらせてサイド突破→クロスって感じで、シンプルゆえに力強いというか。皮肉にも会見でザックが口にした「インテンシティ」は明らかにブルガリアの方が勝っていました。いやぁ、良いトレーニングになったと思います。オーストラリアを想定したコンタクトも体験できたし、反省ばかりが残る試合で、本番に向けて気持ちも入れなおしてくるだろうし。最近多い反ザック派には絶好の口撃の機会を与えてしまったわけですが、擁護できることもいろいろあると思うんです。ということで殴り書き。
 このブルガリア戦は基本的にはオーストラリア戦を見据えたものです。3-4-3のテストも、ザックジャパンのオプション確立ではなく、あくまでもオーストラリア戦に備えたもの。前半の布陣も、後半の布陣も、選手交代も、すべてオーストラリア戦で勝つためのものであり、ブルガリアという目の前の相手を倒すためのものではないんです、ザッケローニの場合は。まぁ、その上で勝てってザックも思ってるはずですが。ジーコは目の前の勝利を渇望してましたねぇ。
 で、3-4-3ですが、基本的には本田不在を受けてのものだと思われます。現時点でのベスメンはGK川島、DF長友・今野・吉田・内田、MF遠藤・長谷部・香川・本田・岡崎、FW前田ってところだと思います。フィールドプレイヤーの中で身長180以上は吉田・長谷部・本田・前田の4人。オーストラリアの武器はフィジカルなわけで、本田が一人抜けるだけでも相当きつくなります。いや、普通に流れの中でプレーしている分には高さの影響はそんなにないと思いますが、問題はセットプレーです。ケーヒルケネディに加えて、上がってくるニール、ノースらを抑えるためにも高さは不可欠。そこでCBに栗原を加えた3バックが試されたのではないでしょうか。4バックで内田の変わりに酒井を入れる方法もあるんですが、それは後半に試されましたね。おそらくリーグ終盤をケガで欠場した吉田のテスト的な意味合いもあったのだと思われます。吉田がムリなら栗原が代役になりますからね。今野-吉田の関係は既に確立しているし、4バックで酒井を試すなら栗原とセットでって考えがあったのでしょう。
 3-4-3は選手たちも手応えを口にしていたように、良い部分もありましたが、改善が必要な部分もありました。一つは吉田と内田の関係。吉田がどうしても中に絞り気味なので、背後のスペースをケアするために内田が下がっちゃうんですよね。右サイドで今野がサイドをフォローすることで駒野を押し出していたのとは対称的でした。また、このチームは左からの攻撃が得意なためか、左に人数が集める傾向があって、右で内田がボールを持った時に孤立するシーンも目立ったように思います。内田は一人で何かするタイプじゃないので、周りの選手が顔を出して選択肢を増やしてあげたいところなんですけど。かと思えば乾が外に張りすぎて蓋になってたりして。乾はザックに「中に入りすぎるな」って怒られていたみたいですけど…。この辺の関係性はもっと時間が必要なんだろうなと。
 もう一つ気になったのは、ポゼッション時の栗原が空気すぎること。遠藤と栗原が重なることが多くて、栗原意味無いじゃーんって見てました。遠藤もそこは栗原を信頼してあげて、もっと前でボールを受けろよってね。最後尾で人が余ると前線に人数が足りなくなるので。人数足らなくて距離感が悪いシーンも多かったと思います。そういう信頼関係が構築できてないのかなってシーンは他にもありましたよ。香川が隙間で欲しがっているのにパスを出さなかったりね。勇気をもってパスを出そうぜって話ですよ。
 ということで、前半は180以上が栗原・吉田・長谷部・前田の4人です。で、後半はいつもの4-2-3-1に変更。後半開始と同時に選手を4人入れ替えます(駒野→長友、内田→酒井、吉田→清武、前田→ハーフナー)。180以上は栗原、酒井、長谷部、前田の4人です。これで高さを担保しつつ、香川・乾・清武+ハーフナーのアタッカー陣のテストをしました。まぁ、微妙でしたね。特に2列目の三人はカウンター気味の展開ならその技巧とスピードを生かせそうですが、しっかり守備組織を構築した相手に対する場合は+αが必要になりそうです。ハーフナーの高さを生かしたいところなんですけどね。後半はサイド攻撃も不発でした。本田がいないと中で起点が作れないから、不在時は外をどう崩すかが大事なんだけど、どうもコンビネーションがよろしくない。長友はコンディションの問題があるのか上がりは控えめだったし、酒井もセットされた守備と相性が良くないのか、最大の武器であるクロスがほとんど入れられませんでした。長谷部・遠藤が攻撃に絡めなかったこともあると思うし、清武のコンディションもどうも悪い。まぁ、本番は6月4日、そしてコンフェデなので、意図的に落としているところもあるのかもしれません。
 ということで内容的には完敗といっていい試合でしたが、失点は超FKとオウンゴールだし、6月4日の本番は、守備に関しては改めて集中して臨んでもらえればそれほど問題にはならないかと。問題は攻撃陣。3-4-3は守備が未整備の部分が多いみたいだし、本田不在なら4-2-3-1で外のコンビネーションを大事にしたいところ。であればパスを出せて人を使える分、右SBは内田の方が良いと思うんだけど、そうすると高さの問題が出てくる。ジレンマだねぇ。酒井なら遠藤を右ボランチにして右にパスの起点を作って酒井を前に出すのが基本形になるのか。左は長友がいれば何とかなりそう。ということでオーストラリア戦は4バックと予想です。
 予断ですが、相手がオーストラリアじゃなくて、高さに気を使う必要がない相手であれば3-4-3の右CBは内田でもいいかもって思いましたw パス出せるし、SBとしても振る舞えるしね。今野―吉田―内田なら3人ともボールを裁けるので、遠藤・長谷部を前に出せるし。3バックはもう少し時間があれば面白くなりそうなんだけどなぁ。足元のあるCBが欲しいところですねぇ。森脇・槙野にもう少し守備力がついてくれば選択肢としては良さそうなんですが。2人のこれからの成長に、そして6月4日のオーストラリア戦本番の日本代表に期待です。

7試合で4勝2敗1分

Jリーグ3勝1分、ACL1勝2敗、トータル7試合で4勝2敗1分となっている今季の浦和レッズACL全北現代戦だけは見れていないのですが、内容でいえば前半は圧倒していたようだし、ACLこそ負け越してはいるものの、概ね好調といってよいのではないでしょうか。
好調の最大の要因となっているのが、既に方々で話題になっていますが1トップ興梠の加入。攻撃時にしっかりボールを収めてくれるキープ力はこれまでの浦和にはなかった存在です。5年くらい前の開幕戦で闘莉王相手に無理やりキープしてるのがすごく印象に残っていたので、得点面以上にボールの預け所になるという意味での期待値は高かったのですが、相手を背負って足元でキープだけではなく、後方からのロングボールの競り合いでも五分以上のボールを味方に落としてくれるし、期待以上に役割をこなしてくれているように思います。さらに守備面での貢献も見逃せないところで、ファーストDFとして敵味方の位置関係を確認しつつ、ボールホルダーにアプローチし、味方の連動を促がす。闇雲にプレスをかけるわけでもなく、回りを良く見ているなぁと思います。もちろんゴールも取って欲しいし、欲を言えば「興梠にゴールさせたい」というチームの意思みたいなものが見えてくると、個人的には嬉しいんですけどね。そういうチームの雰囲気ってサポータにも伝わるし、それもまたサッカーの魅力なのではないかと思います。まぁ、スコア的に余裕が出てこないと難しいかもしれないですが。
選手でいえば槙野と森脇の外側のCB2人も良い。槙野は昨年に続き、攻撃面で存在感を発揮できているし、PA角付近でのアイデアもあり、チャレンジできてる。昨年は守備時に軽いプレーが見えることがあったので、今年はその辺が改善されていると良いなぁと。森脇に関してはポゼッション時に坪井との違いが出てると思います。守備面だけをみれば坪井が勝っているかもしれないけど、SBとしても十分振る舞えるし、プレスが緩ければドリブルで前に運ぶこともできる。今はまだ逆サイドの槙野がイケイケなのでバランスを重視してるようなところもありますが、フォローの関係が構築できれば両サイドからバランスよく攻撃を仕掛けられそうです。去年は左サイドは槙野が前に出て人数をかけた厚い攻めができたけど、右は平川の単騎突破が多かったですからね。敵を左に寄せて結果的に右がオープンになったってこともあるだろうけど、それが両サイドでできる意味は大きい。
今のところバックアップになっている那須、関口、阪野の新加入の3人も出場時にはレギュラー組と遜色のない動きを見せているように思います。今は控えに回っているマルシオ、平川、坪井らも含めてベンチメンバーの底上げが図れたのは非常に良いこと。競争意識も高まるだろうし、ペトロビッチにはその辺のコントロールも含めてお願いしたいですね。
一方でちょっと気になっているのが、矢嶋や小島、岡本、レンタル復帰の永田ら若手メンバーの出場機会の減少です。ナビスコがあればそっちで試せるんだろうけど、ACLではさすがに厳しい。才能には疑いがないだけに出場機会を与えて欲しいなぁ。小島はレンタルで出して良かったと思うんだけども。今も大事だけど育成も大事。それは過去の経験で分かっているはず。そこんとこフロント陣はどう考えてるんだろう。ぶっちゃけ若手の場合は獲得即レンタルくらいでも良いと思うんだけども。伸び盛りなんだから試合経験増やさないと、ね。
他にも今年はラインが高いなぁとか、意外と前からDFしているなぁとか思うところもあるんですが、それはまた別の機会に。引き分けた大分戦とか、見てないけど全北現代戦は決定機を生かせずに勝てる試合を落としたって話ですが、そこはもうしょうがない。むしろ決定機を作れていることをポジティブに捉えるべきかと。決定機を作れているってことは、相手の守備を崩せているというわけで、やっているサッカーが間違っていないということ。決定機が作れないサッカーの閉塞感は2年前に散々見せ付けられました。それを思えば今の状況は全然アリだと思うのです。戦力的を見ても、今年はリーグ制覇を狙う年だし、ACLだって行けるとこまで行って欲しい。さぁ、今年も全力で浦和レッズを応援しますよ。