最終節を前に感じていること

G大阪に敗退、そして鳥栖とのドローを受け、優勝が遠のいてしまった浦和レッズ。非常にくやしいし、がっくりきているわけです。
鳥栖戦、試合そのものは非常に慎重な進め方でしたね。単純に守りに入ったというよりは、鳥栖のサッカーを考えてのこともあったのだと思います。中盤でパスひっかけられてアーリークロスでドン! みたいなのは避けたいところですからね。相手が一人退場したといっても、鳥栖の場合、こと攻撃に関しては人数の影響とか全然感じさせないですからね、シンプルさ故の強さと言うか。豊田ほしいなぁ。
 浦和がロスタイムのCKに泣いた翌日は、昇格プレーオフで磐田がこれまたロスタイムのCKで涙を飲みました。しかもGKのヘディングシュートですからね。浦和以上に劇的な結末だったわけで。前日のことがあるので、磐田の選手やスタッフ、そしてサポーターの気持ちに心情を重ねてしまう一方で、点を決めたGKが山岸という当たり、非常に複雑な心境になりました…笑。
 さて、浦和の優勝が限りなく遠のいてしまった日の夜、新潟サポの友人から慰めの電話がありました。その時に「ロスタイムの失点で優勝が遠のいてしまったことにもっと憤っているかと思った。試合後の会場のサポーターも罵声ではなく、“浦和レッズ”コールをしているし、思ってたのと違うんだけどw」と言われたわけです。
 確かに僕自身、がっかりしているのは間違いないのですが、憤りの様なものはほとんどありません。たぶんその原因は、2011年の低迷があったからだと思うんですよね。11年はいろいろおかしかったと思います。フィンケ路線が“失敗”と位置付けられてしまったところが根っこにあると思うのですが、監督としての手腕が未知数であるOBのペトロビッチが監督に就任。だけど「前向きにチームをサポートしたい」という思いからか、ペトロビッチを肯定する声の方が大きかったと記憶しています。継続性のかけらもない人事に、サポーター間もチグハグというか。で、案の定ダメダメで残留争い。最終節でようやっと残留を勝ち取るというありさまに。
 00年代中盤にかけての浦和の躍進に、いわゆるサッカーのスタイルに関して筋が通っていたとは思いません。オフトは土台を築く点では高く評価されている監督でしたが限界があるというのが一般的な評価でした。攻撃時の追い越し禁止とかあったらしいし。で、次に連れてきたのが指導力未知数なブッフバルト。確か1年目はハイプレス・ショートカウンター。2・3年目は守備重視だったと記憶しています。一貫性はないですねw。ただ毎年大型補強を繰り返していて、集客力と資金力と勢いでチーム力を強引に引き上げるという意味では筋が通っていたように思います。犬飼の剛腕と、ブッフバルトの謎の力(笑)による強さであり、その強さを盤石なものにするだけの土台はありませんでした。その結果、07年終盤からの迷走があったわけです。個人的にフィンケ路線は大歓迎だったし継続すべきだったと思うけど、少なくとも成績上は失敗でした。で11年のドタバタ劇です。
 だから、J1昇格以降の浦和をずっと応援してきた人たちは、みんな継続することの重要性が身に染みているし、優勝争いができることの幸せも感じているんだと思います。少なくとも僕はそうです。それにピッチ上の選手たちが勝つために必死にプレーしていることも伝わってきてるしね。
 なので、僕自身は、優勝が遠のいたことを受け、悔しいしがっかりしたけど、チームを非難するような気持ちはほとんどありません。もちろん、優勝が絶対条件って人も中にはいるかもしれないけど、G大阪戦後、ブーイングではなく、浦和レッズコールが出たことにちょっとほっとしました。
 そんな話を新潟サポの友人にもしたのですが、春先の一連の事件も踏まえ、「サポの成長を感じるなw」と一言w。
 成長云々は置いておくとしてw、重ね重ねになりますが、混戦が恒例のJリーグにあって、優勝争いができていることってすごく幸せな事なんじゃないのかなぁと思うわけです。特に磐田の昇格プレーオフ敗戦を見た後では、それをすごく強く感じています。ブーイングだってすればいいってものじゃないし、優勝争いが出来ている、選手も頑張っている、フロントもチーム力を強化するためにバランスを崩さないよう強化をしている(たぶん)。だからサポーターも今の姿勢を支持しているし、優勝は遠のいてしまったけど、声援で応えているわけですよね。サポーター含め、チームに関わるすべての人が同じ1点だけを目指して進むことは不可能だけど、多くの人が同じような方向を向けているからの結果なのかなぁと思います。もちろん優勝してほしいですよ、全試合勝ってほしいし、来年はACLだって取って欲しい。でも一番大事なのは、チームが継続的に、同じ方向を向いて、少しずつでもチーム力を高めて、常に強豪たる盤石な土台を築いていくことなんだと思います。今はその軸がぶれていないことを感じているからこその、浦和レッズコールだったのではないでしょうか。ロスタイムの失点にブーイングをしなかったからといってそれを許容しているわけではなく、ここでくじけることなくチームに強くなってほしいという思いの方が上回っているからこそのコールだったわけです。
 新潟サポの友人は、それを“成長”と表現しましたが、それが適切な表現なのかはわかりません。“変化”というべきかもしれないし、今だけの反応なのかもしれません。おそらく今が2008〜2011年当たりであればブーイングが起こっていただろうとは思います。ただ、個人的には、自分の心境も含め今のサポーターのスタンスはすごく好ましいものだと思うし、将来的にチームを後押しする、チームを強くすることに繋がっていくのではないかと思います。
 ただ、個人的にちょっと心配なのは、クラブがそれに胡坐をかく可能性があるのではないか、ということです。チームのスタイルにそぐわないビッグネームの獲得とか、力量の見えないOBを監督に据えるとか。ここ数年の強化にはおおむね満足してますよ、コオロキや西川はじめ、槙野・森脇・那須のCBは欠かせないレギュラーだし、関口なども控えの層を厚くしました。一方で阿部や鈴木といったベテランボランチに代わる戦力はまだまだ不十分だし、原口を除けば若手選手の台頭もほとんどありません。外国人枠も未使用です。その辺りを考慮すれば、クラブはもっと成長できる余地があるのではないかと思ってしまいます。伝手がないからOB人事するようなことではなく、そういった部分も含めて成長を感じられるような姿を示してほしいと思うのです。
 またシーズンは終わってないし、かすかな希望かもしれないけど、最終節は少なくとも優勝の可能性を信じて応援しますよ。鹿島がたなぼた優勝をさらっていくことだって十分ありえるのがJリーグG大阪がコケてくれることを願って、徳島が意地を見せてくれることを願って、そしてもちろん、浦和が名古屋に勝利することを願って、14年Jリーグ、最後の試合を楽しみたいと思います。

 んー、でも1シーズン制がひとまずこれで終了ってのは正直興ざめ感は否めないなぁ。細かいレギュレーションはチェックしてないけど、優勝も降格も1シーズン通しての結果で見るべきだと思うし、プレーオフが盛り上がるのは間違いないんだけど、プレーオフ外の他サポはちょっと疎外感生まれる気もするし。いろんなチームが優勝、ACL、残留、降格に関わってくるシーズン終盤の楽しみが奪われるようでかなり残念だ。瞬間的な盛り上がりも良いけど、勝ち点計算をしながら、クラブと選手、クラブ間、選手間の因縁などを見つけながら、などなど、シーズン終盤の楽しみが半減してしまう気がするのです。あぁ残念だ。