リーグ開幕前に3連敗

ACLグループリーグ第2節、ブリスベン・ロアーとの対戦、開始直後のぬるい失点、後半頭の那須の退場により敗戦。2015シーズンはJリーグ開幕前にして、公式戦3連敗となってしまいました。公式戦を1試合もしてないチームが14チームもあるのに3連敗です。なんだか不公平な気がしないでもない。
で、対ブリスベン戦の敗戦の要因は明らかに采配ミスでした。浦和のフォメは、ペトロビッチになって初めて見る3-5-2、2トップにコオロキとズラタン、トップ下に柏木、右ワイドに加賀。負けられない戦いであるにも関わらず、テストを続ける様子です。出ばなの失点は集中力の欠如としかね。ぬる〜く入ってぬるい対応でグサッと失点。どうもACLは立ち上がりが悪い印象あります。
ビルドアップはゼロックスのガンバ戦と同様、後ろ3枚、ボランチ2枚。マイボール時には4トップ気味の下に柏木が入り、3-2-1-4で対応していました。どうもブリスベンは前プレはあるんだけど、後方の守備陣が緩いらしく、けっこうボールが回ります。特に序盤は、公式戦初出場のコオロキがうまくボールを引出しチームにリズムを与えていました。一方で柏木の役割が定まらず、中盤で1人浮いた感じになってしまい、ボールにほとんど絡めずやりにくそうでしたね。
また、同じく公式戦初出場の加賀はおそらく不慣れであろう右ワイドでの出場となったわけですが、予想通りというか微妙なでき。本職CBの選手にウィングの位置でボールを持って仕掛けろ、という要求はさすがに厳しい。そんなことできるの森重くらいじゃなかろうか。で、前半途中で森脇とポジションチェンジ。加賀は無駄に精神的消耗をさせられた印象です。しかも前半だけで交代はさすがにかわいそうでした。
序盤はわりと印象も良かったのですが、ブリスベンの前線がしつこくプレスに来るのと、ビルドアップ変更の影響でCBがワイドの選手のフォローにいけないことが相まって、浦和は徐々に前後分断傾向に。中盤にスペースがあるので、ボールを奪われると相手カウンターが怖いです。そんなこともあってか、途中からビルドアップをいつもの最終ライン4枚方式に変更。ただ前が2トップなので、柏木が中盤に降りてきて、攻撃時は4-2-4の様な形に。これにより柏木のボールタッチ数が増え始めますが、守備の時にどうも後手に回ります。ブリスベンは割とシンプルにボールを動かすんだけど、カウンター時には後ろから押し上げて割と人数をかけて攻めてきます。ところがコオロキ・ズラタンの2トップの守備への参加が散発的で、中盤で数的不利に。そんなこんなで流れを取り戻せずに0-1で前半を終了します。スタメン、フォーメーションが完全に裏目に出た前半でした。いつものやり方なら圧倒できたはずなのに、と思っていたら後半から加賀→梅粼、ズラタン→石原の2枚交代。いつもの3-6-1からの4-1-5フォーメーションに変更すると、ブリスベンを圧倒します。わずか10分弱で惜しいチャンスを何度も演出しましたね。やはりコオロキが素晴らしい。とにかくフリーでボールを受けるんですよね。テレビなのでボールを受ける前の動き出しは見えないけど、あれだけフリーで受けるんだから、子供向けの教材になりそうな気がするんだけど。今度スタジアムで確認したい。もちろん敵に囲まれそうな時もあるんだけど、ファーストタッチで敵のいないスペースにボールをコントロールするのが抜群にうまいです。だからキープできるし、味方も押上げができる。やはりFW陣の中では存在感が抜けています。
そんなわけで、同点、逆転は時間の問題かなぁと思っていたら那須が一発退場。ブリスベンは前半から前からプレスには来ていましたが、あのシーンでは那須が完全にパスを読まれてしまいパスカット、那須が掴んで止めてレッドカード。完全に浦和の流れだっただけにもったいない。直前のシーンでコオロキが決定的なチャンスを決めていれば…。
ただ、10人になってからもブリスベンの守備陣は相変わらず緩く、退場直後こそ混乱はあったものの、その後はチャンスをそれなりに作れていたと思いますが、ゴールを奪えず敗戦となりました。阿部の汎用性の高さにより、10人になってからも大崩れしない布陣が組めたから結果オーライだったけど、後半頭の交代2枚により那須退場後の選手交代がかなり制限されたことも事実です。
今回の試合は、最初からいつもの布陣で臨んでいれば十分に勝点3が計算できる試合だったと思います。選手層が厚くなったことに伴い、今年は例年以上に選手マネジメントに気を使う必要があります。他クラブならスタメンクラスの選手がベンチ、あるいはベンチ外のままでは不満が溜まり、チームの雰囲気にも大きな影響を及ぼしますからね。それもありスタメンが安定しないわけですが、それにより、コンビネーションの成熟に時間がかかる、選手を出場させるためにフォーメーションをいじる、といった弊害が出てくるわけです。少なくともこの試合では、ペトロビッチがフォーメーションを変更したこと、不慣れなポジションの選手を起用したことにより、後半頭に2名を交代する必要に迫られ、那須退場後の交代が制限されてしまいました。この試合は完全にペトロビッチの采配ミスで落とした勝点3といっていいと思います。
格下相手にテストするならまだしも、ACLでテストまがいのことをするのは厳しいと思うんだよね。閉塞感を感じているからこそ新しい試みをしているんだと思うけど、成熟度が足らず逆に閉塞感が増し、いつものやり方にしたら皮肉にも躍動感が増したと。個人的に感じる大きな問題は2つ。コオロキ不在時の改善策が見えない事、ビルドアップ時の4-1-5で中盤1人のタスクを理解し、こなせる選手が啓太しかいない事、なんだと思います。だから選手をローテーションさせると上手くいかない。改善策はシンプルです、昨年のベストメンバーで試合に臨めばそれでOK。まずはそれを軸に、選手を1〜2人いじるくらいで良いと思うけどね。まぁ、前線過多で中盤・守備陣のバックアッパーが補強できなかったのは、フロント陣のミスです。長谷部戻ってこないかなぁ。
さて、ニュース等で話題になっているようですが、サポのブーイングに対しペトロビッチや一部の選手から物言いがあった模様。一方で阿部の必死な訴えに胸を打たれるわけですが。昨年終盤の大失速の流れを受けての3連敗だけに、ブーイングは仕方ないと思うけどなぁ。立ち上がり、あまりにもふわっと入って失点してるし、“絶対に勝つ”という気迫を感じられない前半でしたからね。1人でいいので前線に気迫を前面に出してプレーするファイタータイプが欲しいところです。ペトロビッチは「選手にブーイングするな、責任は監督にある」と言ったようだけど、ブーイングの大半は監督に向けてだったような気がしますね。サポだって落とせないゲームだってわかってるからこそ、勝ちに行く姿勢が見たかったはずだし、そしたら肩透かしされるような布陣とスタメンで、采配が裏目に出たってことも明らかだし。ただ、監督も選手も、試合中は最後までサポが歌って後押ししてたことを忘れちゃダメだよね。平日の寒い中、1万3000人も入って、試合中は最後まで応援していたのだから、それをなかった事のようにブーイングを批判したのはいただけない。
 まぁ、個人的にはまだリーグ戦開幕してないし、ベストメンバーならACLでも破壊力のある攻撃ができることは分かったのでそこまで悲観はしてないけど。週末はついにJリーグが開幕です。両ステージ優勝、チャンピオンシップ優勝の完全制覇を目指し、湘南には申し訳ないけれど溜まったうっ憤を晴らす快勝に期待しましょう。