圧勝×2

ついに始まったブラジルW杯アジア最終予選オマーン、ヨルダンと2戦続けて快勝した日本代表。素晴らしいの一言ですね。何が良いってやはり守備でしょう。ボールを失った直後の切り替えの速さが抜群で、カウンターを受けそうになっても守備への切り替えが早く、しかもチームとしてのアプローチ&カバーの仕方が上手い。ボールを奪い返すのが速いので、相手チームにすれば「ボールを奪ってカウンターを仕掛けたはずなのに、逆にカウンターを受けてました」なんて状況です。これだけ守備がいいから1試合を通して良いリズムを維持できるんですよね。サッカーはメンタルのスポーツなんていわれることもありますが、1本のシュート、1つのミス、ほんのちょっとしたことで試合のリズムが変わってしまう。良い守備が好調な攻撃を生み出しす相乗効果。前線の選手たちにも守備意識を植え付け、効果的に実践させているザックの手腕は見事だと思います。
 今の日本代表の心強いところは対戦チームの“心を折る”作業を粛々と続けられるところです。この2戦の大勝の背景には、先制点を早い時間に取れたことがあるのは間違いないですが、仮に前半スコアレスだったとしてもさほど心配する必要はないですよね。かつての日本代表は「PAの外でボールを回しているだけ」などと揶揄されることも多く、実際にフラストレーションの溜まる試合が多かったのも事実です。が、今の代表はただボールを回すだけではなく、常に刃を敵ゴールに向けているというか。敵に奪われないボール回しをしつつ、スキがあればゴール前に進出していく攻撃。ボールを奪われても素早く切り替えてすぐにボールを奪い返し、カウンター返しが狙える守備。対戦チームは常にこの状況にさらされることで、体力面でも精神面でも確実に疲弊し、後半の中盤を過ぎた辺りでガクッと集中力を落とすはずです。集団で敵を追い回し、弱りきったところで仕留めるオオカミの狩りみたいな。オマーンもヨルダンも2失点したあたりで折れてましたが。
 ただ、あくまでもこれは対戦相手がアジアのチームに限った話であり、欧州・南米の強豪チームが相手の場合はどうでしょう。難しいかもしれませんが、今のチームは期待感を持たせてくれますよね。アジアカップにW杯予選と、ザック就任以降対アジアの闘いが続いていますが、強豪相手にどこまでやれるか。散々言われていることですが、オーストラリア戦はその指標の1つになりえるもの。最高の結果を期待したいですね。
 最後に、吉田のケガは残念でした。インターセプトの勢いそのままにドリブルで相手を交わところで接触→ケガでしたが、0-0であれば、ドリブルの選択はしなかったと思うんですよ。ザックのインタビューで「常に0-0の気持ちで」という発言がありましたが、あの時間帯は点差が開いたこともあり、吉田に限らず、明らかにプレーチョイスに余裕が出過ぎている選手が何人か見受けられました。難しいことではありますが、常に最適なメンタルコンディションを保つ努力ってのが必要なのかもしれません。最近の浦和の試合を見てても、その辺がちょっと気になるんだよなぁ。