闘莉王の恐怖

 GW3連戦の緒戦はアウェー名古屋。名古屋からすれば前節の広島に続き3-6-1を採用するチームとの連戦。前節に続き3バックを採用しシステムをかみ合わせてきた。やり方としては、前からのプレスで後方でのパス回しを許さず、アバウトなクリア・前線フィードを誘発し、闘莉王を筆頭に高さと強さを兼ね備える3CBで跳ね返ししてゲームの支配権を浦和に握らせない、というプランっぽい。実際、浦和のアタッカー陣は高さがないからね。エアバトルでは勝ち目がない。一方、浦和の守備は中央は硬いけど、どうもサイドからの崩しに弱い。ってことでサイドを厚くして浦和を叩きのめすってのが3バックの意図かなぁとも思ったんだけど、どうもそういうわけでもないらしい。闘莉王が前に出てきた時以外は怖さを感じない名古屋の攻め。
 というわけで、リトリートで守る浦和と前から守る名古屋なので、浦和陣にはスペースがなく、名古屋陣にはスペースがあるという状況が続く中で生まれた浦和の先制点。梅崎のマイナスの折り返しをマルシオが受けてマークにきたダニエルをキックフェイントではずしてシュート。名古屋も人数は揃ってたけど、バイタル空けちゃいましたね。たぶんなんですが、ダニエルが最終ラインより前に出ている状況で浦和のカウンターが発動。応急処置として闘莉王・増川と左WBからスライドした小川で3バックを形成し中央を固める。ダニルソンは逆サイドの平川をケア。なのでダニエルと藤本でバイタルを埋めるべきところで、藤本は戻りきれず、ダニエルは軽い守備をしてしまった、ということのようです。名古屋も守備体系を整えるところまではしっかり対応したものの、個人レベルでまずい対応をしてしまったと。
 で、リードを許すと前に出てくる闘莉王さん。これが非常にやっかいで、圧倒的な強さなわけです。まるでビグザムです。浦和守備陣としては、ただでさえ強いのに、守備網の外からやってくるビグザムを誰が見るのかって問題が生じ、名古屋にはビグザムなら絶対に勝てるという信頼感が周りの選手たちの思い切った動きを生み出します。その形がはまり金崎のゴールで同点。実は2つくらい前のプレーで、梅崎が自陣ゴール前で中途半端なプレーで相手ボールにしてしまったのが尾を引きました。あの場面ではっきりしたプレーをしていれば生まれなかった失点だったかなぁと。
 後半になると攻守の切り替えの差が明らかになるにしたがって浦和のペースに。そんなこんなで田中播磨のハンドで退場&PK。マルシオが確実に決めて浦和リード。で浦和がリードすると“戦術闘莉王”。FWの位置に入り完全に制空権を握る闘莉王。存在感がハンパないっす。一方で、闘莉王がFWに入ることで名古屋の前プレが緩み、落ち着いてキープできればこのまま試合をクローズできるとも思ったのですが、浦和がばたついてしまい、まったくキープできなくなって防戦一方。こういうところで落ち着けるかどうかは課題だよね。大人なチームにはまだまだ程遠い。途中から、名古屋がホントに闘莉王一辺倒になってしまったのと、金崎・玉田が交代でピッチから去ると高さを生かしたコンビネーションもなくなり、まさに浦和守備陣VS闘莉王の構図になったのですが、それでもゴール前で存在感を出し続ける闘莉王は恐怖そのものでした。浦和時代よりも存在感増してる気がする。時に傍若無人な振る舞いをすることもありますが、やはりJリーグ史上に残る選手ではないでしょうか。ケネディいたら負けてたな、たぶん。
 次節は横浜FM。神戸が爆弾処理をしてくれたので気分的にはリラックスして観戦できそうw。もちろん、下位に低迷しているチームが相手なので、しっかりと勝ちを収めてGWは3戦3勝でお願いしたいですね。