5年ぶりのACL

Jリーグ2012シーズンが終了した。最終節、浦和は名古屋に完封勝利。上位にいた鳥栖・柏がそろって負けたことで5年振りのACL出場が決定しました。3位という好成績に加えて、最終節の勝利が久しぶりということもあり、昨年と比べて非常に満足度の高いシーズンだったわけですが、正直なところ試合前は「ACLは出なくてもいいかなぁ」と思っておりました。
 というのも07年のACL優勝までの道のりは激動であったし、今の浦和にあのトーナメントを勝ち抜くだけの力はないと思っているからです。選手層という意味でも、クラブの一体感という意味でもですね。07年当時の浦和は「ACLを絶対に獲る」という方向でクラブがまとまっていた気がします。国内タイトルを全て取り、Jリーグ盟主の座を確定させるためにも、JクラブによるACL初制覇は浦和の手で、という熱意がクラブにはあったし、06年はACL未出場でしたが参加しているJクラブのアウェー遠征に浦和のスタッフも同行して現地調査などをしていたと記憶しています。それくらいACLに対して熱を入れていましたよね。
 で、今年はどうかというと昨年の大低迷の影響でACLの準備どころじゃなかったはずだし、そもそもACL出場権を視野に入れていたかどうかも怪しいところ。とにかく結果が残せそうな監督に片っ端から声をかけてペトロビッチ就任で結果オーライという、一貫性も何もないクラブ運営が行われているわけで、選手や監督をどれだけバックアップできるか、非常に心許ないのが現状だと思います。
 戦力的に見ても、鈴木や阿部、坪井といったACL制覇経験者がいるものの、他の面々は非常にナイーブというか。韓国・中国勢の反則まがいのコンタクトを跳ね返せるほどのメンタルがあるとは思えず、07年時は堅守とワシントンという、確実に計算できる拠り所が会ったのに対し、今は攻守に“チーム”で一丸となっている印象はあるけど、確実に計算できる“武器”がない印象ですね。どんな形であれ、その“武器”が見つかったらJリーグでも優勝争いに本格的に名乗りを上げられるのではないかと思いますが。
 というわけで、現状のままでは来期のACLを勝ち抜くのは非常に厳しいと思っております。ACLともなれば当然遠征になるわけで、過密日程の影響は避け難く、Jリーグの成績に影響が出ることも考えられる。仮にACLで決勝まで進んだとすれば、Jリーグの成績が低迷したとしても非難する声は小さいかもしれない。でもACLで予選敗退、Jリーグでも低迷ともなれば、サポーターから非難の声が上がることは容易に想像できるわけで。フロントがビジョンを持たない以上、サポーターの声に敏感に反応して監督を…なんてことも想像できちゃうわけです。
 そういうわけなのでACLは“まだ”いいなぁなんて思っておりましたら、見事出場権獲得。出場するからにはしっかり応援したいし、07年のあの高揚感をもう一度と味わいたいと思ってしまうんですよね。でも目先の勝利だけを求めていては08〜11年の失敗(個人的にフィンケは失敗だと思ってませんが)を繰り返してしまう可能性もある。そういうことを考えても来年のACLは非常に難しい位置づけになりそうですが、逆に考えれば、これはクラブとして成長するチャンスなのかもしれません。JリーグACL、そしてチームの長期的な強化。どれか一つではなくこれら全ても突き詰めて行く姿勢をフロントには求めたいところ。来シーズンが難しいシーズンになることが予想できる以上、このオフシーズンにフロントがどんな動きを見せるのか、注目して行きたいけどめっちゃ不安です…笑。