浦和の守備は安定しているのか

 リーグ戦7試合で6失点は3位タイ。まぁ、ナビスコは3試合で8失点だけどもね。10試合で14失点。で、点の取られ方をまとめてみると、セットプレー・セットプレー崩れで6失点、浦和の左サイドからのクロスで4失点、浦和右サイドをパスで崩されて3失点、DFラインでボールを取られて1失点となります。左はクロスから、右はパスで崩されてってのが面白い。
 で、個人的に気になっているのが左サイドからのクロスでの失点。実はセットプレーでも同じような形の失点があって、守備の人数は揃っているのに、ファーの選手をフリーにしてしまうケースが目立つ。守備時は5バックになるから必然的に中央にはCBが3枚。3枚という数が余裕を持たせてしまうのか、クロスの際に人を捕まえる意識がちょっと低いように見受けられます。右を崩された失点の中にもクロスに対してファーをフリーにしてやられたのが1つあるので、ここはCBが意識して人を捕まえておかないと。セットプレーでの失点にも似たようなことが言えて、6失点中CK・FKに直接合わせたのは1点のみ。札幌戦の山本のミドル、C大阪戦の素早いリスタートは別として、こぼれ球を拾われて4失点。しっかりボールキープできるまではマークを捕まえておきましょう、そうすれば失点は減りそうですよという話です。失点が多いナビスコはメンバーも落としているっていうエクスキューズもあるけどね。リーグ戦の守備は安定しているわけだし。
 逆に今シーズンの守備の何が良いのかというと、カウンターと中央を崩されてからの失点がないこと(ナビ・C大阪戦の3失点目はカウンターで中央を割られているんだけど、あれはリスタートからってことで…)。今の守備の基本はリトリートなので、当然カウンターを受けないように守ります。攻めに時間をかけさせて素早く5バック+ボランチ2枚の守備陣系を整える。3CBに加えて鈴木・阿部のボランチで構成する中央はさすがの固さでほとんど崩されることありません。先日のダービーでこそ、裏を取られて2失点しましたが、素早く帰陣して最終ラインの位置も低い。さらにOHの二人も守備に戻ってパスの出してを潰しにくるので、裏を取られるケースも少ないです。
 もちろん悪いボールの失い方をする時はカウンターを受けます。特に今の浦和の攻撃は、ボールを持つと5トップともいえる布陣に変化して中盤は1枚。なので、最終ラインでボールを回している最中や、前線に入れるタテパスをカットされてしまうと、非常に危険な状況が生まれます。特に最終ラインでのボール回しはまだまだ拙く、対戦チームの中には前線からのプレスを徹底するチームも少なくないので、最終ラインでのボール回しは結構ヒヤヒヤします。が、SBの位置に入っている外のCBは前の選手がボールを納めた時にしか前に行かない。つまり、仮にボールを取られても必ず4人+1人がいるので数的不利になるケースはないし、3バックではサイドに穴が空いてしまいますが、システム上マイボール時は4人で最終ラインを構成しているので、目に見える穴はない。良くできた仕組みだと思います。何より4+1の全員が守備専の選手で現役代表と元代表。鈴木や阿部のポジション取りや坪井・永田の対人能力は確かなもので(槙野はちょっと怪しいかな…)、攻撃的な選手にありがちな不用意な1発カットを狙うこともない。ディレイで両WBの帰陣を促し、相手のカウンターを防ぐことができます。よく「浦和の選手は個の能力が高い」と言われているのを聞くと、「うーん」と思ってしまいますが、こと守備に関してはその通りだと思いますね。
 ということで、守備の安定の要因は、中央の固さとカウンターを受けにくいペトロビッチ式3バックだと思っているのですが、それだけにダービーでのあっさり崩された2失点はちょっとびっくりでした。中が固いなら外からってのは当たり前の話で、サイドで人数をかけられるとまだまだ危うそうだし、先に述べたクロスに対するファーサイドのマークの甘さと相まって、不安要素もあるわけです。GW3連戦は守備のあり方にも注目ですな。