仙台を引きずりおろせ!

 明日はホームに首位仙台を迎えての上位対決。昨年のことを考えれば、折り返しを迎えようというこの時期に3位につけているなんて信じられないですなぁ。首位の仙台とは勝点5差、2位広島とは勝点2差。下を見ると勝点3差内に4チーム。ここで仙台から勝点3を取れれば混戦必至。Jリーグを盛り上げるためにも仙台を引きずり下ろそうではありませんか。
 その仙台は得点数1位タイの31点、失点数4位の13失点。立派な数字です。一方の浦和は19得点(8位)、14失点(5位タイ)。上位対決とはいうものの、得点においてはかなり差がある。今期はナビスコの開幕戦で1度対戦してるけど、そのときの印象としては“ハードなチーム”ってところ。ちょっと荒いなぁと思いながら見てました。それ以降の試合は見ていないのでなんともいえませんが、14試合31得点13失点は勢いだけで何とかなる数字ではないと思し、ここまでのリーグ戦で自分たちの戦い方に自信を持っているはずなので、厳しい試合になるだろうなぁとは漠然と思います。
 で浦和の話。リーグ中断直前のFC東京戦ですばらしい試合をして、先日の再開初戦G大阪戦で逆転勝利。こちらにも勢いはあると思うし、選手たちも自信を持っていると思います。何より個人的に期待しているのがG大阪戦ではケガのため休養した鈴木啓太の復帰。中断前のFC東京戦の出来がそれはもう素晴らしかったんですよ。オシム時代の代表に選ばれていた時を彷彿とさせるような、むしろそれ以上。鈴木啓太のサッカー人生で最高のパフォーマンスなんじゃねぇのって思うくらいの出来。「守備専」とか「足元が致命的」とか言われる鈴木啓太ですが、少なくとも「目」を持っている選手だと思ってます。敵・味方の位置関係を把握する能力、スペースを見抜く能力。それをベースに自分のポジショニングを修正する能力。この力が最大限に発揮されるのが守備のときで、それゆえに守備能力を評価されているわけです。一方、攻撃時には技術の拙さからパスミスが多く、20代前半の頃は敵にパスをするシーンが多かったんです。ただ、狙いを持ったパスというか、しっかりと奥まで見えているというか、チームのリズムが悪いときにビシッとクサビのパスを入れるのも啓太なんですよね。成功の有無は別として、常に何が必要かを考えながらプレーをする選手だったと思います。代表に選ばれている期間はだいぶ自信を持ってプレーをしていたようで、敵陣深い位置で相手の股を抜いてドリブル突破とかもしてました。08年辺りから浦和の停滞に合わせて啓太のパフォーマンスも停滞し、可もなく不可もなくなプレーをするようになってしまったんですが、先日のFC東京戦では、浦和のプレーメーカーとして素晴らしいパフォーマンスを見せてくれました。
 浦和はマイボール時には4-1-5のようなフォーメーションになり啓太は中盤の「1」。DFからボールを引き出し、前の5人に確実に配給をする。この日はパスミスも少なく、普段であればボールを受けてもすぐに後ろに戻してしまうようなシーンでも前を向くことを意識しており、派手さはないですが堅実なプレーでチームにリズムをもたらしていました。絶好調すぎて「絶対に後半に落とし穴がある」って思いながら試合見てましたからねw このパフォーマンスを継続して出せていれば今頃代表のキャプテンマークを巻いていたのは長谷部じゃなく啓太だったかもしれないなぁと妄想できるくらいの良かったです。
 ということでFC東京戦のパフォーマンスが出せるのであれば啓太の復帰は浦和にとって大きな力となります。ここ最近、浦和の選手たちを見ていて思うのが意識の差というか、常に先の展開を考えながらプレーをする選手と、それをしていない選手の差が大きいんですよね。先を考えていないからボールを回してもそこでリズムが途切れる。ボールを受けてから何をするか考えている選手が、多いとは言わないけど少なくないように見えます。
 リーグ前半はフォメのかみ合わせのズレを利用して得点を重ねてきたわけですが、中盤戦に入ってからは対戦チームもしっかりそれに対応してきているようで、“ズレ”が生み出せなくなってきています。そんなときに必要なのが個人技とコンビネーションですが、それっていかに相手の予測の裏を取るかってことでしょう。正直なところ啓太はそういうビジョンを持ってプレーをしているようには見えなかったのですが、FC東京戦では自分の役割を考えながらプレーをしていました。今の浦和にとって中盤の「1」は、最終ラインと前線をつなぐ重要なポジション。啓太自身は決してクリエイティブな選手ではないけれど、クリエイティブなプレーができる柏木やマルシオに、確実にボールを繋ぐことができれば浦和の得点チャンスは増えるはず。仙台を引きずり下ろすためにも、啓太のプレーには注目です。
 ただ、他にもいるんですよね、ボールを受けてから考えている選手が。若い頃から期待されており、今も頑張っていて、彼のおかげで勝点が取れた試合があるのも確かなんだけど、彼のところで攻撃が失速するシーンが多いのも確かなんですよねぇ。”上手いだけ”というか。ベンチメンバーの方がチームのリズムには乗れている気がする。もう一皮向ければ代表も見えてくると思うんだけどなぁ。