今シーズンの集客〜夏休み前まで〜

 オリンピック真っ只中ではありますがJリーグだって開催中。特に子どもや学生さんにとって夏休みの今は集客を高めるチャンス! ってことで夏休み前(18節まで)のJリーグの集客状況を整理してみました。Jリーグ公式サイト参照の手打ちなので間違ってたらごめんなさい。GW前(7節時点)でも一度やってるんですが、それをふまえて表をつくってみました。以前の記事を参考までに。
Jの観客動員数をグラフで見てみよう - いぬわらび
今シーズンの集客は? - いぬわらび
 7節までの集計時は、Jリーグが開催される土曜が雨ばかりって状況だったことをふまえてご覧ください。

 いくつかのグループに分けて考えられそうです。
■絶好調グループ(7節時点で前年増、18節までにさらに増)
■持ち直しグループ(7節時点で前年減、18節までに回復傾向)
 →仙台、浦和、横浜FM、新潟、清水、磐田、名古屋、神戸、
■頑張りましょうグループ(7節時点で前年増、18節までに減少傾向)
 →札幌、鹿島、大宮、川崎F、広島
■やばそうなグループ(7節時点で前年減、18節までにさらに減)
 →G大阪
Jリーグという単位で見ると前年並みに戻りつつあります。前年割れは5チームのみ。雨の影響が大きかったのと、W杯アジア最終予選やオリンピック代表などで注目を集めたのが大きいかも。Jリーグの集客増という観点からもオリンピック代表のメダル獲得への期待が高まりますね。
 チームでみると絶好調グループのC大阪は夏以降が大事そう。集客増の背景には清武・山口・扇原のネームバリューの高まりがありそうあけど、チームの中核を担っている清武とキム・ボギョンが移籍。現時点で降格圏へと順位を落としてしまい、集客がチームの成績に比例しやすいことを考えると、ネームバリュー・順位の低下のコンボは厳しいはず。集客好調・順位下降のC大阪と間逆にいるのが、首位なのに集客減少傾向の広島。これは謎だ。広島は常に悪天候とかあるんだろうか。ビッグアーチの収容力を考えるとこれはちょっとさみしいよなぁ。はずせないのは昨年から減り続けているG大阪。せっかく新スタジアム構想が具体的になりかけてきたのにこれは痛いなぁ。
 せっかくなのでスタジアム別収容率も。

 あいかわらず平均は50%未満。これはちょっとさみしいよね。そんな中にあって仙台の8割越えは素晴らしい。スタジアムの8割が埋まるのは壮観だし、スタジアムも良い雰囲気になるはず。ちなみに一番さみしいのは広島の3割未満でした
 オリンピックやフル代表が注目を集める一方で、まだまだ集客が足りないJリーグですが、逆に考えればまだまだ伸びがあるってことです。今回のオリンピックを一つの契機に、さらにJリーグが盛り上げていけると良いですね。

永井恐るべし

 ついに始まったオリンピック。日本代表は初戦のスペイン戦を勝利で飾るまさかのアップセットで、一躍今大会の注目チームに躍り出ました。
 スペイン戦の勝利の要因はいくつかあると思いますが、何より守備が良かったですよね。いろいろなところで書かれていますが、前プレで行く時としっかりブロックを作る時とメリハリが利いていて、チーム全員の意思が統一されているように見えました。さらにOAで入った吉田と徳永の安定感といったらもう。もちろん前線から精力的に守備に走り回った永井や東、自陣の深い位置までカバーした清武らの運動量も素晴らしかった。見ていて「後半絶対ガス欠するぞ」と思ったもん。チーム全員で最後まで走りぬいた運動量と集中力は素晴らしいの一言。追加点がしっかり取れてれば言うことなしだったけど、そこはご愛嬌ですね。
 一方のスペインは、世界最強であるが故に自分たちのアイデンティティから逃れられなかったのかなぁと思いました。正直なところ、パス回しが上手いチームではなかったですよね。それでも執拗に短いパスを回してポゼッションを保とうとする。特に後ろの方。日本の守備が安定していたのもあると思うけど、PA内に危険なパスが入ることはほとんどなかったし。あれならサイドを個人技でゴリゴリされた方が嫌だなぁと見ておりました。あくまで世界最強はシャビやイニエスタ、ピケやプジョルがいるスペインであって、U-23のチームじゃないんですね。それだけ彼らの存在は大きかった。彼らがいるが故のパスサッカー。それをこのチーム、というかスペインは誤解してしまったのかも。もちろん育成年代からフル代表まで同じ哲学でチームを作ることも大事だと思いますが、この大会での結果を求めるならば別のやり方もあったのかなぁと思いました。まぁ、日本をなめてたのかスカウティングは甘そうだったし、フル代表の“世界最強”という神輿に胡坐をかいているチームだったのも間違いないとは思いますが。
 でモロッコ戦ですよ。中2日という厳しい日程の中で、スペインに勝利したファンタスティックなチームがどんなパフォーマンスを見せてくれるのか、世界中のサッカーファンが注目していたと思うんです、たぶん。まぁ、グダグダでしたねw いや、スペイン戦に引き続き守備は良かったと思います。チーム全員の守備意識が徹底されており、素晴らしい安定感をもたらしていると思います。崩壊していたトゥーロンが懐かしいw。
 ところが攻撃は相変わらずイマイチでした。スペイン戦では効いていたカウンターも、この試合ではさすがに警戒されており、DFからの一発ロングや中盤からもレンジの長いスルーパスが多く見られましたが、まったくチャンスを作れず。じゃあボールを回せるかというと、前線の選手たちの距離感が悪く、リズム良くボールが回るシーンはほとんどなし。個人的に気になったのは逆サイドにボールがあるときのSHの位置取り。ワイドに張りっぱなしなんですよね。だから1トップがボールサイドに流れちゃうと中央に味方がいないという。そこにボランチが出てくるなら良いけど、ボランチは最終ラインに近いところに鎮座。いや、ポジションを崩さないからこそ守備が安定するって考え方もあると思いますが、点を取るための工夫をもうちょっとして欲しいですよ。あいかわらず前線のコンビネーションもないし。「このままではスペイン戦はまぐれかよ」と全世界に思われるかなぁ、なんて思いながら見ていたら永井ですよ。眠い目をこすりつつネガティブ思考に陥ってしまった精神を一瞬でチャラにしてしまった圧倒的スピードによるゴール。なんだかいろいろ考えていたのがバカみたい。どれだけ内容がぐだぐだであっても永井がいればオールオッケーってな具合ですよ。
 モロッコ戦勝利時の個人的な心境は、昨年のペトロビッチレッズが勝点を得た時の心境に似ています。「勝点を得たけど、だから何なの」みたいな。未来の見えない絶望感の中で得た勝点に何か意味があるの? 今日は勝点得たけど本当に残留できるの? っていう感じ。決してU-23日本代表チームを非難しているわけではないですよ。予選突破が決まりメダルも見えてきたことを喜ぶ一方で、内容の向上が見られないチームへの不安と不満、でも永井がいれば何とかなっちゃいそうな期待感。ものすごく複雑な心境なんです。
 何が言いたいかというと、永井の圧倒的なスピードにはワクワク感を覚えずにはいられないってことです。世界中のサッカーファンが今や永井の虜です。1試合でも多く、大舞台での永井のプレーが見れるように、ぜひともU-23日本代表には勝ち進んでいただきたい。

急ぎすぎ

 オリンピック代表の走行試合、ニュージーランド戦は1-1のドロー。ちょっと本戦に不安しか残らない試合でしたね。失点シーンの村松は確かにお粗末ではあったけど、本番でなければいいんです。練習での失敗を試合に生かせば良いだけ。あくまで本番はオリンピックなんですから。ただ、それ以上にチームとしての狙いがどうなのって思いますよね、このチームは。
 特に問題なのが、あれだけポゼッションしつつ、シュートをあられのように打ちながら1点しか取れなかった攻撃です。シュートに関しては、まぁ入らない日もあるからそれはしょうがないんだけど、タテに急ぎすぎる。確かに迫力はあるけど、常にトップスピードって印象の単調な攻め。当たり前の話ですが、“速い”ってことはボールコントロールが難しくなるわけで。ドリブルだけじゃなくてパスも、トラップも同じ。1本目のパスは成功しても、スピードに乗った状況でのパスが続けば、2本目、3本目とパスの本数に比例して、パスのズレも大きくなり、肝心のフィニッシュの場面でミスが出るという状況に陥りかねないわけです。U-23代表チームは、常にそういう状況を自分たちで作りだしながらプレーをしているように見えました。フル代表という良い見本があるのだから、緩急のパスで相手を動かしてDFに穴を空けて攻略するやり方があってよいと思うのだけど、そういうイメージはないっぽいですよね。
 そのタテに速い攻撃に拍車をかけていたのが永井のドリブルだったと思います。速さもキレもあり、まさに“切り裂く”ようなドリブルで何度かチャンスを作った永井ですが、そのダイナミックな突破故に、チームのイケイケな雰囲気を助長させてしまったように見えました。永井が悪いわけじゃなくて、サイドで自分の武器を生かそうと思ったどうしたってそうなるけどね。やっぱりタテに速い攻めってのが監督の理想なのかね。川崎F時代のように。U-23には中村の代わりはいないと思うのだけど、どうも狙いが中途半端というか…。
 攻めに人数をかけるチームだし、選手たちのプレースタイルを考えてもコンビネーションをベースに、その中に個人技を組み込んでいくスタイルに取り組んでいるようにも見えますが、トップスピードで3本以上のパスが絡むコンビネーションて、ミスが増えるという上記の理由で無理じゃねーかなって思うんですよね。2本でも難しいと思うけど。でもこのチームは、ピッチを広く使うわけでもないのに、人数をかけてタテに急ぐ。タメを作って後方の上がりを引き出してっていうシーンは意外と少なかった気はします。そもそもこのチームにコンビネーションてあってないというか。清武と東にはそれを感じるけど、ほかの選手たちはその場の即興コンビネーションみたいな。その場のアイデア重視で動きが整理されてない気はします。選手選考によりリセットされたというより、予選のころからコンビネーションは感じさせませんでしたけど。
 そんなチームでありながら、ゴールに迫るシーンを何度も作りだせたのは、ひとえにニュージーランド守備陣のルーズさでしょう。最後の場面でこそ身体を張るものの、中盤はわりとルーズでしたね、ニュージーランド。シュートの場面を除いて日本の攻撃陣は割と自由にプレーをさせてもらえました。守備に人数をかけてカウンターってほど割り切ってもいなかったたし。だから日本の攻めがハマったのだと思います。でもこれって本戦じゃムリだよなぁって思うんです。中盤で自由にさせてもらえることなんてないだろうし、そもそもあんなに圧倒的にボールキープできるなんて思えないし、ボールキープできなくなれば攻められるわけだけど、トゥーロンで課題となった守備の安定を計るゲームにはならなかったわけだから。徳永はうまくフィットしていたけど、中盤より前の守備はどうなんだろうね。その辺はスペイン前の2試合?で見てみたいところです。
 あと気になったのは杉本かなぁ。貴重な1点を挙げたけど、組み立てに参加しすぎて肝心の場面でゴール前にいないシーンが何度か。高さを生かしたプレーもなかったし、やっぱりチームとして彼の良さを生かすための動きが整理されていない気もします。後になって「やっぱり大迫のほうが良かったなぁ」なんて言われないように、本人はもちろん、監督・コーチ陣も攻撃時の動きを整理してほしいですね。

ロンドン五輪メンバー発表

 ロンドン五輪のメンバー18人が発表されました。ん〜18人枠だと浦和の選手は厳しいかなぁと思っていたら案の定…。大迫が外れたのは予想外だったし、厳しい世界ですなぁ。
 基本フォーメーションは4-2-3-1。予想フォーメーションとしてはこんな感じかな?
   永井
大津  東  清武
   山口 扇原
高徳 鈴木 吉田 宏樹
     権田
 バックアップは、徳永がSB・CB、山村がCB・ボランチ村松はSBでいいのかしら。2列目アタッカー枠は宇佐美と斎藤、CFに杉本と。なんとうか、わかってはいたけどいろいろと不満だぞ。OAを控えや予備登録に持ってくるとか、海外組使いすぎじゃねとか。
 濱田はDFにOAで2人入れることを発表された時点で厳しいかなとは思っていたのでしょうがないですね。浦和でもCBの4番手でリーグ戦はあまり出れていないしね。原口も浦和でレギュラーを確保しているとは言いがたいし、何より浦和の新フォメに適応するのが精一杯っていう状況で、彼の良さを生かしているとは言い難い部分もあるからなぁ。まぁ、プレーの幅は少しずつ広がってきていると思うし、今は地盤を固める時期と思って頑張って欲しいな。でもスピード、キレ、プレーの分かりやすさって意味では交代カードの手札としては優秀だと思うし、宇佐美・斎藤にも負けてないと思うのだけど、A代表優先でトゥーロン国際不参加だったのが痛かったか。
 今後の予定としては8日からキャンプ、11日壮行試合のニュージーランド戦、26日にグループ初戦。吉田、清武、W酒井、宇佐美、大津ら海外組はいつから合流だろう? チームから3週間は離れるだろうし、出遅れ決定かなぁ。そもそも吉田は来期もVVVなのかしら。
 決まってしまったからにはグチグチ言ってもしょうがないので、ちょっと視点を変えて。上記の日程に加えて、グループ予選を突破したと仮定すると、準々決勝は8月4日。つまり、その間は五輪代表抜きでJリーグは開催されるわけです。浦和にとっては山崎(呼び登録)が抜ける磐田、権田が抜けるFC東京戦は勝点を稼ぐチャンス。オリンピックはもちろんですがJリーグも負けずに盛り上げていこうではありませんか。

【〜6/27失点】

■VS鳥栖(ナビ5節) 浦和陣左サイド深い位置から相手のスローイン。スロワー藤田のロングスロー。ファーから中へ入ってきた豊田が頭で合わせてゴール。マーカーは濱田で前に入られてしまった。
■VS鳥栖(ナビ5節) 浦和陣中央、浦和DFラインとMFの間にフワッとしたボールが上がりそこには鳥栖の選手。右CB坪井と柏木が前後から挟み込むような形で寄せるが間に合わず鳥栖の選手が前方へ浮き球のパス。同時に左サイドセンターライン寄りにいた鳥栖MF水沼が前方へ猛然とダッシュ。永田を背負いながらボールを受けた鳥栖のFWは、坪井が前に出て空いたスペースにダイレクトでボールを落とす。そこへ走りこむ水沼。一度は水沼を追いかけてきた平川が上手く水沼の前に身体を入れバックパスをするが全力ダッシュだったこともありコントロールがずれてしまい、GK加藤ははじくのが精一杯。こぼれたボールを水沼が押し込んでゴール。防げたはずの失点でした。
■VS G大阪(14節) 浦和陣右からのCK。キッカーはパウリーニョPAスポット付近が4対4になっており、G大阪としては2対2を2セットのイメージっぽい。スクリーンをかけてフリーを2人作ろうという動きあり。それにやられてしまい佐藤が頭で合わせてゴール。マーカーは坪井。佐藤は一度ニアに入る動きを見せてからファーに逃げる動き。ニアに入ろうとする瞬間に中澤にスクリーンをかけられて坪井の反応が遅れたためマークが外れてしまった。

【〜6/27得点】

■VS鳥栖(ナビ5節) 浦和のカウンター。自陣中央、柏木が左サイドで前へ走りだした原口へパス。センターライン付近でボールを受けた原口はそのままドリブル開始。浦和の攻撃は3枚、ボールを持つ原口の前方左ワイドにデスポトビッチ、前方中央にマルシオ鳥栖守備は4枚で原口に1人が併走、DFライン3枚の形。原口がボールを持った時点で左ワイドにいたデスポトビッチは一度中へ動くそぶりを見せて敵DFラインと併走する形でタテへ。マルシオは右へ開く動き。原口は併走していた敵DFをものともせずドリブルでPA付近まで運ぶと、敵右SBを引き付けて左前方にいたフリーのデスポトビッチへパス。この時点でゴール前には敵DFが2枚でニアとファーに1枚ずつ。タッチライン際からGKとDFの間を通すグラウンダーの早いクロスがデスポトビッチから入り、大外でフリーになっていたマルシオが合わせてゴール。
■VS G大阪(14節) 前の状況は不明。中盤の攻防があり浦和DFラインが高い状態でボールを奪取した模様。なので浦和の中盤の並びが不規則だが、一方でG大阪は綺麗に4-2-3-1のラインができている。不思議。自陣中央、DFの前でボールを持つマルシオからセンターサークル内右寄りでフリーの柏木にパス。同時に平川・梅崎の両ワイドが前方タテにダッシュ。ボールを受けた柏木はすぐに前を向き、そのままドリブルスタート。G大阪ボランチは柏木を追いかける形になりアプローチが遅れる。1トップの原口は中央右寄り相手CB2枚の間で駆け引き。柏木がボールを前に持ち出した時に下がって受ける動きを見せてからDFラインの裏を狙って急加速をかけそこにタイミングよく柏木からのパスが通り、1トラップで前に持ち出した後、逆サイドネットにグラウンダーのシュートが決まる。
■VS G大阪(14節) 後半ロスタイム、オープンな展開になっていたためお互いの陣形にもかなり乱れが見られる時間帯。敵陣中央フリーで前を向く柏木。矢嶋が左サイドから中央へ裏を狙う動きで相手右SBを引っ張ることで空いたスペースに梅崎が走りこみ柏木からのパスが通る。PA角付近でボールを受けた梅崎は追いかけてきたMFを切り返しでいなしてそのままシュート。逆サイドネットにグラウンダーのシュートが決まり逆転。
■VS広島(ナビ7節) 浦和のポゼッション。マイボールなので5トップ気味の布陣だが、左ワイドの梅崎がやや中に位置取りつつ、柏木が下がってボールを受けるそぶりを見せたことで左CBの槙野が敵陣中ほどのタッチライン際、高い位置でフリーになりパスが入る。柏木が下がり梅崎が槙野のサポートに来たことにより、PA左付近にスペースが。そこに走りこんだ柏木に槙野からのパスが通り、柏木はダイレクトでGKとDFの間にグラウンダーの速いクロス。矢島が後方に下がる動きでDFの意識を引き付けることで、ニアに動くそぶりから中央に入ったデスポトビッチが完全にフリーになりクロスに合わせて先制。
■VS広島(ナビ7節) ピッチ右寄り、ゴールまではやや距離がある位置からのFK、キッカーは阿部。大外から走りこんできた野田がファーで頭で合わせてゴール。
■VS広島(ナビ7節) 敵陣中央ゴール寄り、DFとMFの間にいるデスポトビッチに小島からのパスが入る。広島は集中を切らしているのかマークが緩慢でプレスもかからず、左から中に入る動きでDFラインの裏を取った矢嶋にデスポトビッチからのスルーパスが通り、GKの股を抜くシュートが決まる。広島は矢嶋をWBが見るのかSCBが見るのか曖昧だった模様。

仙台を引きずりおろせ!

 明日はホームに首位仙台を迎えての上位対決。昨年のことを考えれば、折り返しを迎えようというこの時期に3位につけているなんて信じられないですなぁ。首位の仙台とは勝点5差、2位広島とは勝点2差。下を見ると勝点3差内に4チーム。ここで仙台から勝点3を取れれば混戦必至。Jリーグを盛り上げるためにも仙台を引きずり下ろそうではありませんか。
 その仙台は得点数1位タイの31点、失点数4位の13失点。立派な数字です。一方の浦和は19得点(8位)、14失点(5位タイ)。上位対決とはいうものの、得点においてはかなり差がある。今期はナビスコの開幕戦で1度対戦してるけど、そのときの印象としては“ハードなチーム”ってところ。ちょっと荒いなぁと思いながら見てました。それ以降の試合は見ていないのでなんともいえませんが、14試合31得点13失点は勢いだけで何とかなる数字ではないと思し、ここまでのリーグ戦で自分たちの戦い方に自信を持っているはずなので、厳しい試合になるだろうなぁとは漠然と思います。
 で浦和の話。リーグ中断直前のFC東京戦ですばらしい試合をして、先日の再開初戦G大阪戦で逆転勝利。こちらにも勢いはあると思うし、選手たちも自信を持っていると思います。何より個人的に期待しているのがG大阪戦ではケガのため休養した鈴木啓太の復帰。中断前のFC東京戦の出来がそれはもう素晴らしかったんですよ。オシム時代の代表に選ばれていた時を彷彿とさせるような、むしろそれ以上。鈴木啓太のサッカー人生で最高のパフォーマンスなんじゃねぇのって思うくらいの出来。「守備専」とか「足元が致命的」とか言われる鈴木啓太ですが、少なくとも「目」を持っている選手だと思ってます。敵・味方の位置関係を把握する能力、スペースを見抜く能力。それをベースに自分のポジショニングを修正する能力。この力が最大限に発揮されるのが守備のときで、それゆえに守備能力を評価されているわけです。一方、攻撃時には技術の拙さからパスミスが多く、20代前半の頃は敵にパスをするシーンが多かったんです。ただ、狙いを持ったパスというか、しっかりと奥まで見えているというか、チームのリズムが悪いときにビシッとクサビのパスを入れるのも啓太なんですよね。成功の有無は別として、常に何が必要かを考えながらプレーをする選手だったと思います。代表に選ばれている期間はだいぶ自信を持ってプレーをしていたようで、敵陣深い位置で相手の股を抜いてドリブル突破とかもしてました。08年辺りから浦和の停滞に合わせて啓太のパフォーマンスも停滞し、可もなく不可もなくなプレーをするようになってしまったんですが、先日のFC東京戦では、浦和のプレーメーカーとして素晴らしいパフォーマンスを見せてくれました。
 浦和はマイボール時には4-1-5のようなフォーメーションになり啓太は中盤の「1」。DFからボールを引き出し、前の5人に確実に配給をする。この日はパスミスも少なく、普段であればボールを受けてもすぐに後ろに戻してしまうようなシーンでも前を向くことを意識しており、派手さはないですが堅実なプレーでチームにリズムをもたらしていました。絶好調すぎて「絶対に後半に落とし穴がある」って思いながら試合見てましたからねw このパフォーマンスを継続して出せていれば今頃代表のキャプテンマークを巻いていたのは長谷部じゃなく啓太だったかもしれないなぁと妄想できるくらいの良かったです。
 ということでFC東京戦のパフォーマンスが出せるのであれば啓太の復帰は浦和にとって大きな力となります。ここ最近、浦和の選手たちを見ていて思うのが意識の差というか、常に先の展開を考えながらプレーをする選手と、それをしていない選手の差が大きいんですよね。先を考えていないからボールを回してもそこでリズムが途切れる。ボールを受けてから何をするか考えている選手が、多いとは言わないけど少なくないように見えます。
 リーグ前半はフォメのかみ合わせのズレを利用して得点を重ねてきたわけですが、中盤戦に入ってからは対戦チームもしっかりそれに対応してきているようで、“ズレ”が生み出せなくなってきています。そんなときに必要なのが個人技とコンビネーションですが、それっていかに相手の予測の裏を取るかってことでしょう。正直なところ啓太はそういうビジョンを持ってプレーをしているようには見えなかったのですが、FC東京戦では自分の役割を考えながらプレーをしていました。今の浦和にとって中盤の「1」は、最終ラインと前線をつなぐ重要なポジション。啓太自身は決してクリエイティブな選手ではないけれど、クリエイティブなプレーができる柏木やマルシオに、確実にボールを繋ぐことができれば浦和の得点チャンスは増えるはず。仙台を引きずり下ろすためにも、啓太のプレーには注目です。
 ただ、他にもいるんですよね、ボールを受けてから考えている選手が。若い頃から期待されており、今も頑張っていて、彼のおかげで勝点が取れた試合があるのも確かなんだけど、彼のところで攻撃が失速するシーンが多いのも確かなんですよねぇ。”上手いだけ”というか。ベンチメンバーの方がチームのリズムには乗れている気がする。もう一皮向ければ代表も見えてくると思うんだけどなぁ。